任意後見利用のポイント

一般的に成年後見といえば法定後見制度を説明されるため、任意後見契約が周知されていません。

そのため、任意後見制度についてわかりづらいとか、法定後見との違いがよくわからないと仰る方が多くいます。

いくつか、ポイントを挙げておきたいと思いますので、参考にしてください。

・任意後見契約を締結しても、後見は開始していない

任意後見契約を結んでも、まだ本人の判断能力が衰えていなければ、後見は開始していません。

契約を結んで、後見が開始するまで待機している期間です。

本人の判断能力が低下し、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、後見監督人(任意後見人を監督する者)が選任されて初めて、後見が開始します。

・委任契約を有効に使う

上記のように後見開始まで長い期間がある場合には、本人と後見人候補者の関わりがありません。

下手をすれば、数年以上会ってもいない後見人が選任されることがあります。

そのため、見守り契約(後述)や移行型任意後見契約を結び、本人と後見人候補者との関係を保っておくことが多いです。

・任意後見人は、死後の手続は行えない

後見制度全般について言えますが、後見人は本人の生存中の制度であるため、死後の手続(相続等)については権限がありません。

もし、死後の手続まで依頼したければ、後述の死後事務委任契約を結んでおく必要があります。

この点、法定後見制度では死後事務を依頼できないため、任意後見のメリットと言えるでしょう。
もっとも、法の原則を守っていると本当に身寄りがない方の場合、死後の葬儀や供養、福祉施設からの退去など急ぎの事務処理に困ります。
そのため、後見人が家庭裁判所の許可を得て、相続人の権利を侵害しない程度の事務処理は行えるようになっています。ただし、あくまで例外的にですので、原則は任意後見で死後委任契約を締結しているほうがよいでしょう。

任意後見人には取消権がない

取消権」と聞いても、多くの方はピンとこないかもしれません。

成年後見制度の目的は、判断能力が不十分な方を支援することです。

ですから、法定後見であれば、判断能力が不十分な方が行った意思表示を、権限の範囲にもよりますが後見人等が取り消せる場合があります。

 

例えば、本当は買う気も必要もないのに、本人の判断能力の低下につけ込んで高価な商品を売りつけられたケースです。

この場合、契約自体が適法であれば、一般的には契約を取り消せないのが原則です。

しかし、後見が開始していれば、後見人は契約を取り消せる権限を付与されています。

 

任意後見には、「取消権」が想定されていなかったのか、無いんですね。

任意後見であっても、後見が開始すれば、上記のように本人が不当な契約を結んでしまう可能性がありますので、取消権があったほうがよいとは思うのですが、ありません。

そこは、任意後見のデメリットとも言えます。

 

もっとも、本人の意思を尊重する観点から、日常的な取引については全ての成年後見制度で取消権はありません

日常的なスーパーでの買い物が、例として挙げられます。

 

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