少し前に、遺贈された側からあったご相談です。
家族で話し合って、遺言を認めてもらったのに、遺言者が遺贈の対象となっていた財産を無断で処分してしまったというのです。
遺贈されることを期待していた方からすれば、残念な気持ちになるかもしれません。
しかし、遺言者の自分の財産の処分ですから、自由に行えます。
当該遺贈については、無効となります。
遺贈は一方的意思表示ですので、受贈者としては何も主張できません。
けっこう大きな額だったので収まりがつかなかったようですが、やはり他人からの遺贈を期待して生活するものではありません。
遺言者は、誰に、どれだけの財産を遺贈するかを自由に決めて記載することができます。
自分の財産を自由に処分できるのが、遺言書のメリットです。
ただし、遺言者が亡くなる前に、受遺者が先に亡くなっている場合は、当該遺贈は無効となります。
遺言を書く際に、受遺者のほうが先に亡くなる可能性がある場合は、受遺者が亡くなっている場合の遺産処分についても付け加えておくとよいでしょう。
もっとも、人の寿命はわからないものです。
自分と同世代か年長者に遺贈する場合には、配慮が必要です。