被後見人の日常生活に関する行為については、成年後見人が取り消すことはできません。
日常生活に関する行為とは、例えば、日用品や衣料品の購入、食事などが該当します。
これらについては、成年後見制度の趣旨が本人の意思・自己決定尊重であることから、本人に委ねられています。
ただ、悪意のある者が日常生活に関する行為について詐欺や悪徳商法に及ぶケースもけっこうありますので、後見活動に際しては注意を要します。
後見人には取消権等がありませんが、地域住民、福祉関係者、警察や行政などと連携して、本人が何らかの被害に遭わないように見守っています。
任意後見人は、契約時に定めた内容について代理権が与えられています。
しかし、そもそも取消権がありません。
取消権がなければ困る場合に、本人が悪質商法などの消費者被害に遭っている場合があります。
悪質商法の被害にあった本人に代わって、契約を取り消せないのです。
前述の日常生活行為についても、当然に取消権はありません。
任意後見人は、もし自分の与えられた範囲の代理権では業務遂行が困難と判断した場合には、法定後見制度を申し立てて、法定後見に切り替えることができます。