遺言書を、本人の意思に反して書かされた場合は、真の意思に基づかないものとして無効になります。
詐欺や強迫により遺言を書かせた者は、当然に相続欠格者となり、相続人ではなくなります。
また、例えば、判断能力の低下した本人の手を取って遺言を書かせたような場合にも、その書かせた者は相続欠格となります。
いずれにしても、不正に遺言を書かせた者は相続人になれませんので、あれこれ策を講じても徒労に終わることがほとんどでしょう。
ただし、相続開始後に遺言が出てきた場合に、無効を争うには、遺言作成当時に上記のような不正があった旨を立証する必要があります。
立証はなかなか難しいので、不正な遺言の存在を認識しているのであれば、生前に遺言の撤回等の対処をしておくべきでしょう。
相続開始後、遺言が無効だと思っても、いきなり訴訟することはできません。
訴訟の前に、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。
これを調停前置主義といいます。
なお、遺言無効の主張の相手方は、遺言を有効としている相続人全員です。
遺言書を本人が作成している場合でも、強迫や詐欺によって書かされたものではないかが争われます。