遺産分割協議がまとまらない時は、家庭裁判所に調停か審判を請求することができます。
調停は非公開で行われ、当事者、裁判所の調停委員の立会いの下、話し合いが行われます。
調停員は双方の言い分を聞いて、解決策・調停案を出して合意成立を図ります。
合意が成立すれば調停調書を作成し、不成立であれば審判や訴訟に移行します。
なお、調停調書には確定判決ど同一の効力があります。
つまり、裁判による判決を得ずに強制執行などができます。
審判も非公開で行われ、家事審判官が事件について証拠などを調べます。
家事審判官の審判は、単独で行われます。
審判により申立が認容される場合と、却下される場合があります。
審判に不服があれば、訴訟手続に移行します。
遺産分割で訴訟に至るケースは多くはありませんが、親族間が何年にも亘って争い続ける姿は、見ていて痛ましいものがあります。
ですから、くれぐれも紛争に至らないように、生前に相続対策を行っておくほうがいいと考えています。
遺産分割協議をいつまでに行わなければならないという期限はありませんが、相続税の申告期限は、相続開始後10か月以内です。
10か月といえば長いようにも思えますが、相続税の納税対象になる富裕層の資産を明らかにして評価し、遺産分割協議をまとめるのは、かなり時間的に厳しいものがあります。
納税期限までに協議がまとまらない場合は、法定相続分通りに分割したと仮定して相続税の納税を行わなければいけません。
その場合は、原則として相続税の各種特例が受けられません。
ただし、その後一定期間内に遺産分割協議がまとまれば、遡って特例が適用されますが、二度手間です。
できれば、生前準備をしっかりして、納税期限までに協議をまとめたほうがよいでしょう。