多くの方が、自分の家庭は相続争いとは無縁だと考えているものですが、遺産分割に関する争いは確実に増えていると思います。
家庭裁判所に調停や審判の申立があった件数でも、平成10年頃は1万件程度であったのが、平成25年は1万5千件を超えています。
調停等を申し立てるのは、当事者間でどうしても決着がつかないケースですから、それ以前の争いはさらに多いのが現状です。
また、財産の多寡に関わらずに、争いは起きます。
遺産争いの約75%は、課税財産額5千万以下で起きているため、一部の大金持ちのことではありません。
自分の家庭でも起き得ると考えて、対策を取られると良いと思います。
将来の紛争を予防するために遺言書を書くケースは多いのですが、それでも相続開始後に争いが起きることはあります。
遺言に本人の意思を記載していても、納得がいかない相続人は遺留分を主張したり、遺言無効を訴えたりします。
自筆証書遺言などだと、偽造・変造だとよく争われます。
結局は人の感情の問題ですので、いくら書面を整えていても、どうにもなりません。
それでも、多くの場合はきちんと書面にして、本人の意思や想いを記載していれば、紛争にまで発展せずに遺産分割が終了することがほとんどです。
実際に、遺産相続で紛争になるケースは1割にも満たないでしょう。
争わない9割にするために、遺言を遺す意味はあります。