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知的障害者と成年後見

高齢者の成年後見業務と比較して

知的障害者や精神障害者の成年後見人になることは、高齢者の成年後見人になる場合と比較して専門家の間で受任が難しいという認識があります。
そのため、受任を希望する専門家が少ない傾向にあります。
理由を以下に列挙します。
 
・高齢者の後見人を引き受けたら後見人の寿命のほうが長い可能性が高いが、若い障害者の後見人を引き受けると自分が先に死ぬ可能性があります。
後見人として、最期まで支援できない可能性が高い事案は受けにくいものです。
・自閉症やダウン症などで、俗にいう問題行動やパニックがあると関わり方がわからないし、怖い。
世間の障害者に対する誤解が大きい部分でもあります。ただ最近は、専門職団体でも障害等への研修などは行われています。
・わが子への愛情が強いため、障害者の親御さんが事あるごとに後見業務に要望や苦情を申し出てくるため、後見業務がやりにくい。
あくまで一部の事例ですが、ただでさえ家庭裁判所や後見監督人に業務を報告しなければいけないのに、その上、親御さんからもいろいろ指摘されると大変になるケースもあります。
・障害年金のみが収入源なので、報酬が見込めない。
専門職後見人は仕事として業務を行っていますので、報酬が見込めない事案は受任できない。
・問題行動がある被後見人(障害者)だと、何かあるたびに頻繁に電話がかかってきたり、呼び出されたりで他の業務に支障が出る。
弁護士、司法書士、社会福祉士は後見業務だけを行っていないため、その他の業務に支障があると事務所運営が上手くいかなくなります。

後見人等が障害をあまり理解していない

現在、後見人の約8割は弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職後見人です。

その中でも、受任件数の割合が高いのが弁護士と司法書士で、法律専門職になります。

法律専門職は、それまでの人生で障害者と関わった経験が少なく、福祉について、あまり理解していない方が多いと思います。

それでも、後見人は受任できます。

ここに、後見制度の問題点があると思います。

たしかに、後見人の仕事で重要な財産管理については法律専門職のほうが長けていますし、知識も豊富です。

しかし、本人が豊かな人生を送れるように支えるためには、身上監護と呼ばれる、本人の生活を見守る仕事のほうが、より大切です。

障害を理解していないと難しいのは、言うまでもありません。

高齢者の場合は、自分の祖父母などとの関わりから、何となく認知症なども理解している方もいます。また、認知症者の増加で、街中で認知症の方をみかける機会も珍しくなくなりました。

一方、知的障害者などについては、小学校時代のなかよし学級があった程度で、ほとんど関わった経験がありません。急に後見人で身上監護と言われても・・・というのが本音です。

誰が悪いのでもなく、仕組みですから仕方がありませんが、諦めるわけにはいきません。

後見人等は家族ほどの支援はできない

知的障害者の親御さんの子供に対する愛情の大きさには、多くの人が圧倒されます。

自分の両親にも感じることがありますが、時には過剰になっていると思う場面があります。

障害のある子供を不憫に感じている親御さんにとっては仕様がないのかもしれませんが、業務として後見人を行う者にとって、求められることが大き過ぎると、正直重いものです。

ただでさえ裁判所や後見監督人に対してきちんと報告義務があるのに、その上、両親にもいろいろと報告や説明をしなければならない、となれば受任するのに二の足を踏んでしまいます。

後見人は家族ではなく業務権限の範囲で仕事を行いますので、子供にすべてを捧げている親御さんにとっては、どうしても物足りなく感じてしまう部分があるかもしれません。

例えば、入院した際に親御さんが後見人であれば、ずっと付き添えますが、後見人は入院手続きが業務です。お見舞いはしても、付き添ってあれこれ世話を焼くことはありません。

その辺りの線引きをご理解いただき、業務として自分の子供を見守ってくれていると信頼してもらえれば、知的障害者の後見はもっと広がるでしょう。

判断能力が低下した障害者にとっては、なくてはならない制度であり、今後も必要な成年後見制度です。

後見報酬を望めない

知的障害者や精神障害者の収入源の多くは、障害年金と福祉就労一般就労による収入がほとんどです。

平均賃金12~13万円というデータがあり、福祉就労に関しては月額1~数万程度が一般的です。日額ではなく、月額の数字です。

これに年金が加わりますが、いずれにしても日々の生活にギリギリで、とても後見報酬を支払える余裕の無い方が多い。

後見報酬は本人の財産に応じて家庭裁判所が決めます。

本人の財産があまりないと、受任者は多くは望めません、頻繁に動かなければいけないケースでは赤字です。

専門職後見人は、独立して事務所を経営しながら後見人を受任しているケースも多く、報酬が望めないケースや少ないケースでは、当然に受任できませんし躊躇います。

親御さんからのご相談でも、後見費用に関することは多いです。

費用は気にして当然ですが、昔から福祉は行政サービスの一環で無料が多かったせいか、費用がかかることを極端に躊躇う方もいらっしゃいます。

例えば、自宅の安全のためにセキュリティ会社に依頼するとけっこうな費用がかかります。自分の判断能力が低下した際に見守ってもらえる後見制度にも、費用がかかるのはやむを得ないと思います。

人が動いてサービスを提供しているのだから、そこに費用は発生します。

自治体などの報酬助成はありますが、助成制度はもっと整備されるべきでしょう。そうでなければ、所得の少ない方が後見人を選べません

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