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治療費の判例

複数の医療機関の治療費の争い

大阪地判平成5年8月20日

外傷性頚部症候群・耳鳴り・眩暈等で事故後、3ヵ所の病院で治療をしていた。

しかし、1ヵ所の病院での治療費について相当因果関係を否定した。 

通院期間が長い場合は、当該通院が交通事故との因果関係があるかないかが争点になることがあります。

保険会社の打ち切り後も通院していた場合に争点になることが多いですが、それまで何も言わなかった保険会社が、訴訟になると主張してくる場合もあります。

セカンドオピニオンが認められた例

大阪地判平成17年10月12日

頚部・腰部捻挫の傷害を負った被害者が、治療を受けている病院以外に2ヵ所の医療機関を受診した例です。

セカンドオピニオンとして2病院を受診する程度であれば、相当性の範囲内と認めらました。

実際に治療されている被害者の中には、複数の医療機関を受診される方は多いです。

通院している整形外科では、湿布をもらい、電気を当てているだけなので、他に自分の症状を改善してくれる医療機関はないかを探します。

また、自分の症状が他の傷病名が付くのではないかと思っている方も、セカンドオピニオンを求められます。

故に、2病院くらいは相当の受診として判決は、妥当でしょう。

自由診療費が争いになった例 1

大阪地判平成2年8月6日

下腿骨骨折に対する手術費については、高度の技術を要するものであったとし、健康保険の診療報酬基準の3倍の自由診療費を認めた。

しかし、被害者の父親である医師が施した健康保険の診療報酬基準の2倍~2.5倍の自由診療による治療費については認めず、健康保険の診療報酬基準で算出した額までしか認めなかった。 

当時と違い、現在はあまりに高額な自由診療に対しては否定的になっている傾向があります。

まだまだ、健康保険を使用するのを嫌がる病院は多いです。

自由診療については、健康保険基準の例えば2倍までなど、上限を認めるとバラつきがなくなるような気がします。

自由診療費が争いになった例 2

神戸地判平成4年3月27日

頚・腰部挫傷、頭部外傷等の被害者の治療費につき、健康保険の診療報酬基準の2.5倍の自由診療費を認めた。

次に出てくる判例で医療水準に鑑みて不合理な治療費を請求していなければ、ある程度までは認めるとされています。

2.5倍が不合理かどうかは議論のあるところですが、3倍でも認められている判例もあります。

なかなか、被害者の立場として、自由診療の費用が健康保険水準の何倍かまではわかりません。

後になって保険会社から支払われませんと言われると困ってしまうものです。

自由診療費が争いになった例 3(過剰診療の判断基準を示した)

福岡高判平成8年10月23日

医師の施した診療行為が必要適切なものであったか否かを審査するにあたっては、当時の医療水準に照らし明らかに不合理なものであって、医師の有する裁量の範囲を越えたものと認められる場合に限り、過剰な診療行為であったとすべきだとの基準を示した。

そして、健康保険の単価の1.5倍の治療費について相当因果関係を認めた。

「明らかに不合理」であるものが、過剰診療行為と判断されました。

周囲の医療機関の自由診療と比較して、突出して不合理な単価でなければ、概ね認められているような気がしています。

自由診療費が争いになった例 4

山形地判平成13年4月17日

外傷性頚部症候群の自由診療費につき、健康保険の診療報酬体系を一応の基準とし、交通事故傷害の特殊性や労災基準が健康保険基準の1.2倍とされていることや社会保険診療のような税法上の特別措置が認められていないことから、健康保険基準の1.5倍までの治療費に相当因果関係を認めた。

この判例は、労災保険基準と比較して、健康保険基準の1.5倍という基準を出しました。

他の判例でも1.5倍基準が使われており、概ねの目安とされている面もあります。

1.5倍を超える自由診療を行っている医療機関は多いため、訴訟になると自由診療費を否定される可能性が否めません。

個室料金の争い 1

山口地判平成2年9月18日

後遺障害(脳挫傷、遷延性意識障害、四肢麻痺)により、外気にあたることで感染症に罹患する恐れがあったため、医師が個室療養の必要性を認めた。個室料金として、年間90万円を61年間にわたり認めた.

61年間という期間に驚くかもしれませんが、若くして重大事故に遭った場合、その後の人生は長いです。

その分をきちんと補償してもらわなければ、将来的に生活に困ることになりますので、訴訟して正解でしょう。

上記の障害であれば、当然の判決だと思います。

個室料金の争い 2

名古屋地判平成17年5月17日

高位頚髄損傷の被害者の判例です。

症状が重篤で、家族の付添や多数の医療機器が必要でした。

付添い家族の滞在スペースや医療機器を設置する広さが必要であったこと、感染症にかかりやすい状況であったこと等から個室利用が認められました。

重篤なケガであり、そのための医療機器が必要であったことから、当然といえば当然の判決と言えるでしょう。

個室料金の争い 3

東京地判平成18年3月29日

後遺障害(脳梗塞による精神・神経症状)のため、けいれん発作、精神状態の不安定、ナースコールを頻繁に押すなどの状態であった。

現在及び将来にわたり特別室料金を認められた判例です。

上記の症状からすれば、当然に認められるべきですね。

この状態で認められなければ、交通事故被害者は本当に泣き寝入りしなければなりません。

個室料金の争い 4(空き部屋がなかった例)

大阪地判平成18年7月31日

大部屋が満床であったときの個室料は認めたが、大部屋が使用可能になってからの個室料は否定した。

ずっと個室を使用していて、大部屋が空いたからといって替わらなかったケースです。

個室を使用するやむを得ない理由がなくなったので、当然といえば当然の判例です。

個室料金の争い 5(治療上の必要性以外の例)

名古屋地判平成17年7月13日

事故後、約1ヶ月後に予定されていた結婚式の打ち合わせ準備のため、結婚式までの個室料を認めた。

治療上の必要性は認められませんが、結婚式まで打ち合わなどの必要性が認められたのでしょう。

ある意味、めずらしい判例なのかもしれません。

裁判官によっては、全く逆の判決が出ていたでしょう。

将来の治療費 1

東京地判平成7年10月31日

被害者は後遺障害(てんかん等)により、将来に亘って抗痙攣剤の服用と年1回の脳波検査、MRI検査が必要として、平均余命の24年間分認めた。

将来治療費については、治療の内容に応じて、平均余命までは認められる傾向にあります。

上記の判例では、てんかんという重篤な症状であり、服薬と検査が認められています。

当然の判例と思われます。

将来の治療費 2

大阪地判平成12年10月30日

被害者は5歳の男の子。

後遺障害(左上下肢の片麻痺、精神障害等)があり、将来の2次的な障害の発生および増悪の可能性があった。

その防止のために18歳くらいまでの治療費と交通費を認めた。

5歳で片麻痺、精神疾患を発症しています。

本人はもちろん、ご両親の悲しみを考えると、認められて当然でしょう。

将来の治療費 3

名古屋高金沢支平成17年5月30日

母親の妊娠中、胎内での事故。

重度仮死状態で出生し、後遺障害(精神発達遅滞、四肢麻痺)が残る。

抗てんかん剤等の治療費を13歳まで認め、運動訓練やリハビリ治療費等は77歳(平均余命)まで認めた。

抗てんかん剤等をもう少し認めてもよかったと思いますが、その他の損害賠償額と総合的に判断されたものと思われます。

将来の治療費 4

東京地判平成17年1月17日

被害者は、57歳男性で、脊髄損傷・頸髄損傷による上肢・下肢機能障害。

今後の日常生活動作を維持するための理学療法・薬物療法等のリハビリ費を平均余命である23年間認めた。

重篤な障害なので、当然の判決ではありますが、余命直前までリハビリが必要かどうかについては、意見の分かれるところです。余命いくばくもない状況で、通常はリハビリはしません。

ただ、他の医療費や生活費の補償との兼ね合いもありますので、総合的に判断されたのでしょう。

将来の治療費 5

名古屋地判平成17年5月17日

被害者は、29歳の男性。頸髄損傷の後遺障害で、呼吸器系統に重大な障害を残しているため、将来的にも在宅治療の必要性がある。

長期的には不確実な面があるとして、平均余命46年間の治療費の7割を認めた。

治療費の3割を減額された判例です。

治療内容や余命も不確実といえば不確実ですので、厳しめの評価がされたのかもしれません。

将来の手術費 1

大阪地判平成11年8月24日

将来の歯冠補綴治療費として、10年後、20年後、30年後の治療費を認めた。

定期的に歯冠補綴が必要な症状であれば、認められますね。

年数については、被害者の平均余命がどれだけ残っているかで変わるでしょう。

将来の手術費 2

東京地判平成13年3月28日

将来の右大腿骨頭カップ置換術費として、15年後、30年後、45年後の治療費を認めた。

15年ごとに手術が必要なケースです。

人工骨頭は、定期的に交換しなければいけません。

平均余命までは、概ね認められます。

将来の手術費 3

大阪地判平成15年4月18日

18歳の男性の後遺障害について、平均余命までの58年間にわたり将来治療費を認めた。

重篤な後遺障害における通常の治療費については、概ねは平均余命まで認められる傾向があります。

ただ、大きな手術を伴う治療については、余命間近まで認められるかどうかは、個々の事案によります。

治療以外の医療費・漢方薬費

大阪地判平成元年3月31日

事故後、胎児に悪影響を及ぼす可能性のある治療をしている妊婦の妊娠中絶費用を認めた。

東京地判平成10年1月28日

事故当時妊娠中の女性が、X線や投薬治療を受けられなかったため、漢方治療の費用を認めた。

いずれも妊娠中の女性について、交通事故による傷害の治療費以外の医療費を認めたケースです。

個々の事案によっては認められます。

整骨院の施術費

東京地判平成16年6月27日

東洋医学に基づく施術費は、原則として医師の指示を受けることが必要だが、

①施術により疼痛が快方に向かっていること

②施術により整形外科への治療回数が減少していること

③施術費が妥当であること

④加害者側が整骨院治療を認めていた経緯があること

等を理由に認めた。

施術に効果があり、加害者も認めていた点も考慮されている判例です。

入院付添費 1

東京地判平成13年7月31日

完全看護制の病院に入院していたが、医師が付添看護の必要性を認めていた。

入院期間のうちの95日間について1日あたり6000円を認めた。

通常は完全看護の病院であれば、付添いは不要だと断られます。

医師が必要性を認めていたというのは、特別な事情があったと理解できますので、判決で認められました。

入院付添費 2

福岡高判平成17年8月9日

ベッド上に寝たままトイレにも行けない状態であったことから、主治医の指示等の有無にかかわらず近親者の付添を必要としたとして、相当期間につき1日あたり6500円を認めた。

主治医の指示の有無にかかわらず、がポイントです。

主治医の指示が無くても、客観的に見て必要であれば、裁判所は認めてくれる判断が下されています。

必要性をどう立証するかです。

入院付添費 3

東京地判平成18年3月29日

事故直後は重篤な症状で、生死が危ぶまれる状態であったため、医師の指示なく家族が毎日付き添った事案につき、入院全期間1日6500円、通院期間中720日につき1日5000円を認めた。

ポイントは、「医師の指示なく」です。

事故直後で重篤症状であれば、毎日付き添うのが家族の心情でしょう。

状況次第では、裁判所は柔軟に認めてくれる判例といえます。

入院付添費 4

大阪地判平成9年7月14日

看護者は被害者の友人。

後遺障害1級事案。

症状固定日までの付添費について、1日1万円を認めた。

友人が看護者、しかも高額の一日1万円が認められています。

事案の内容によっては、友人でも看護者として認められる判例です。

入院付添費 5

水戸地判平成11年11月25日

被害者は後遺障害1級(四肢麻痺等)の事案につき、近親者入院付添看護費として、1日7000円を認めた。

後遺障害1級の四肢麻痺ですので、当然と言える判例でしょう。

完全看護の病院といえども、やはり事故直後の家族の心情を鑑みれば、妥当といえます。

入院付添費 6

大阪地判平成17年7月25日

被害者は高次脳機能障害。

両親が入通院を付き添い、父親は看護のために退職。

入院付添い費として、1日8000円を認めた。

高次脳機能障害は、入院期間が長引く傾向があります。

また、人によってはさまざまな精神症状が見られますので、付添が必要になるケースが多いです。

妥当な判断でしょう。

入院付添費 7

神戸地判平成18年6月16日

被害者は高次脳機能障害等で、看護にあたった夫は開業医。

事業収入減少による損害は否定されたが、1日あたり10000円の入院付添費を認めた。

妻の看護にあたった際、夫が自営業であったため収入が減少したケースです。

看護で付き添った時間は営業できませんから、単純に収入は減少すると予想されますが、そこまでは認められませんでした。

入院付添費 8

神戸地判平成8年4月18日

日本語の不自由な韓国人妻の入院の付添いを夫が行った。

1日2500円が認められた判例。

看護の必要性というより、言葉の壁があったケースです。

身体看護の必要がなくても入院付添費が認められることがある、という判例です。

入院付添費 9

大阪地判平成8年8月29日

被害者は痴呆、失語症。

その治療にあたっては、父母が側にいて会話を多くすることが有効であったとして、1日あたり2000円を認めた。

直接身体介護の必要性が低くても、認められたケースです。

認知症の症状の程度と、その後の症状が改善した結果は評価されたようです。

入院付添費 10

大阪地判平成14年5月31日

6歳の子供の入院付添のため、ホステスである母親の付添費として、収入日額16410円を認めた。

一日あたりの付添費が多いのは、ホステスの収入が多かったからです。

立証が上手くいったケースでしょう。

入院付添費 11

さいたま地判平成16年4月23日

1歳の子供の入院付添。

完全看護であるが、近親者の付添が必要とし、1日あたり6500円を認めた。

被害者が子供であるとか、高次脳機能障害で何らかの症状があるなどの場合は、付添費は認められやすい傾向にあります。

通院付添費 1

名古屋地判平成16年7月28日

被害者はRSDで後遺障害併合5級。

通院の際、ふらつくなどで付添が必要と認められた7日間につき、1日3000円を認めた。

ふらつきのひどい7日間について認められています。

症状に合わせて、本当に必要な期間が争点になったケースです。

通院付添費 2

神戸地判平成17年12月20日

被害者は6歳の女の子。

心的外傷後ストレス障害、右足関節挫創等の通院付添費として1日3300円を認めた。

6歳の女の子が被害者ということで、認めてあげたい事案でした。

幼くして心的外傷後ストレス障害になり、本当に気の毒です。

通院付添費 3

東京地判平成17年12月21日

被害者は、頭部の骨折、硬膜外血腫等の事案。

通院付添費として、1日3300円を認めた。

ケガの状況はもちろん加味されていますが、その他の状況も総合的に検討された事案です。

自宅付添費 1

東京地判平成16年5月31日

被害者は後遺障害1級。

職業介護費とは別に、近親者の自宅付添費費として、職業介護が行われなかった日は1日8000円を、職業介護が行われた日のうち151日間は1日4000円を、残りの101日間は1日2000円を認めた。

近親者の自宅付添費については、よく争いになります。

近親者が仕事を休んだり、退職したりして付き添うケースも多く、今まで毎月もらえていた給与が入らなくなります。

その分の損害をどう見るかなどが、争点になります。

自宅付添費 2

東京地判平成17年10月27日

被害者は後遺障害1級。

自宅付添費として、1日8000円を認めた。

1級事案ですので、妥当な金額かと思われます。

自宅付添費 3

大阪地判平成17年3月25日

被害者は後遺障害1級。

24時間常時介護を、福祉サービスと家族で行っている状況。

近親者による主たる介護者1名と補助的介護者1名が必要とし、症状固定時までの自宅介護費として妻は1日あたり9000円、土日を手伝っていた実姉の分1日あたり2000円を認めた。

24時間常時介護が必要とのことで、近親者2名の付添費を認めています。

被害者の現状を見据えた妥当な判決です。

自宅付添費 5

東京地判平成16年12月21日

被害者は後遺障害1級。

遠方から家族が看護・介護に当たるための、病院近くのホテル宿泊費を認めた。

家族宿泊費は、概ね認められる傾向にあります。

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